時間旅行
ずっと前に毎日のように聴いていた音楽を、久しぶりに耳にするとき、時間はワープする。 味や香りも、やっぱりワープする。絵もそうだ。 この理論で言うと、時間旅行(過去に限るけど)は可能だ。 20代の頃、親友のトーマちゃんと、世田谷美術館に行くときに必ず寄ったカフェがあった。 初めて行ったとき、ヨーロピアンブレンドと言うコーヒーを頼んでみたら、「これは、パリの味だ!」と目が飛び出た。 深煎り、と言うものである。フレンチロースト、と言うものである。 しかし時代は1990年に入る頃、そんな言葉は知らなかったし、フランスで飲んだのはカフェオレだったから、この深煎りの味と香りで目の前にパリがよみがえったのが感激だった。 しかもパリのカフェよりも、丁寧な味がする気がして、ブラックでおいしく味わったものだ。トーマちゃんによると、このお店の奥さんはカナダの方だそうで、品の良いステキな方であった。 このお店には、バナナケーキみたいな、シンプルなケーキに、ホイップクリームが載ったセットがあって、そのクリームの味もなんだか特別な感じがした。思い出してくると、おいしさがよみがえり、嬉しい。 近年、コーヒーは朝しか飲まなかったけど、ここのところ職場でドリップコーヒーを楽しむようになった。色々売っていて、一杯分ずつパックされたものはエコではないがどれもおいしい。でもなかなか、これ、と言うのが見つからない。で、あの用賀のカフェの、「ヨーロピアンブレンド」を思い出している。 ググってみたら、出て来た。便利な時代だな。ピロエットというお店だ、そうそう。行ってみたいな。 それよりもココは東京の反対側。まずは近所の名店「渋谷珈琲」で、深入りを購入してみよう。ポットに入れて職場に持っていこうかな。